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息をするのも忘れているんじゃないかと思うぐらい、朝子の体はガチガチに力が入っていた。
朝子が口を開くまで待つ間に、さっきの言葉の意味を考えてみる。
俺は俺なりに、朝子のことを大切に想ってきた。
そりゃまぁ、2人で出掛けたり、恋人らしいことはまだ何一つできていなかったけれど。
それが不満だったんだろうか?
付き合うのは俺が初めてだと言っていた。
きっと、恋愛に対していろんな憧れや夢があったんだろう。
それを現実にしてやれている自信は、正直に言って全くない。
ファミレスの雇われ店長なんて、まともに休みだって取れなくて。
歳の差だってあるし、社会人と学生で生活リズムも違うし。
でも、朝子はいつも幸せそうに笑ってくれたから。
俺たちは、これでいいんだと思っていた。
朝子は違ったんだろうか?
「……ごめんなさい」
「謝らなくていいから。俺のほうこそ、ちゃんと話してもらわないとわからなくてごめん」
「信太朗さんは悪くないです。私がちゃんとできないから」
「うん? どういうこと?」
頭の中は?マークでいっぱいだった。
不満があったわけではないということか?
早く説明してほしくて急かしたい気持ちを、どうにか堪える。
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