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「朝子は、大人なことしたいの?」
ちょっとだけからかうつもりで、耳元で低く囁いたら。
彼女の体がびくっと跳ねた。
その可愛らしい反応に、思わず笑みが零れてしまう。
やっぱりまだ俺達には早いんだよ。
そう告げようとしたのに。
「……ちょっとだけ」
「え!?」
今、なんて!?
消え入りそうなか細い声だったから、聞き間違えたのかもしれない。
そう思ったけれど。
躊躇うようにおずおずと、朝子の手が俺の腕に重ねられる。
朝子のほうからそんな風にしてくれたことは初めてだった。
触れているところが熱くなってくる。
年甲斐もなく、一気に鼓動が速くなった。
「いや、あの、無理しなくていいから」
「無理じゃないです」
まじか。
いや、でもさ。
え、俺、これ、どうしたらいいの!?
ごくりと唾を飲み込もうとしたけれど、口の中は一瞬でカラカラに乾いていた。
据え膳食わぬはなんとやら、とは言うけれど。
いや、まじで?
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