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「勇者はその後龍の執事となり、我が子を陰ながら見守る道を選んだ。だから人からは裏切り者と呼ばれているのです」
「それ、アーロンのお話?」
「昔話ですとも」
「うん、でも」
ジェマが執事に何事か話そうとしたその時、出し抜けに館の方角から火の手が上がった。
「あ!見て!」
ジェマが短い悲鳴を上げる。
「別働隊が上手くやったようだな。貴様らをここに足止めしてた間に龍は退治させてもらったぞ。さあ、その子を渡せ!俺は龍の娘を生け捕りにした英雄になるんだ!」
執事が話している間に、吹き飛んだ兵士達がジリジリとジェマ達を取り囲む。
「私の娘には指一本触れさせん!!」
老執事は素早く立ち上げると少女の盾になり身構える。
ジェマは彼を頼もしく見上げると無言で、燕尾服の裾をギュッと掴んだ。
「掛かれ!」
隊長の命令に兵士達が一斉にジェマ達に襲いかかって行った。
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