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「それで?この辺りでは見かけない立派な馬車の少女が、前日まで働いていたんだな?」
翌日には兵士達が不可解な消失現象を調査していた。
夜が明けると店があった場所には何もない。
街の一角がまるで刃物で切り取られたようにすっぽりとなくなっていた。
目撃者はなく、不審な物音も付近に焼け焦げもない。
ただパン屋の店舗兼住宅だけが中の人間ごと消失した。
「その馬車はどの方向から来た?」
「あっち」
隊長に帽子を被った男の子が街外れを指した。
「魔の森の方向か。あの森には12年前の災厄の龍が潜んでいるとの言い伝えだがちょうど良い。すぐに兵士を集めろ!久しぶりの魔物討伐だ!」
若い隊長は金髪をキザに片手で掻き上げると血気盛んに部下に命じた。
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