父と娘

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「くっ、警備ロボット! 全員かかれ!」  田所の一言に警備ロボットが一斉に動き出し私達を囲んだ。 「無駄ダ、マリア、無力化シロ」  十秒と掛からず警備ロボットは全て無力化され、私達は田所の前に立ちはだかった。 「マ、マリアがここまでだなんて……」 「田所、オ前ハ、マリアノ記録モツケテタダロ、警備ロボットデハ相手ニナランヨ」  私はそっと田所の人差し指を握った。 「デ? ドウナンダ、田所」  ボキッ!っという音と共に田所は声にならない悲鳴を上げた。  でも、私は人差し指を離さない。 「今言エバ五本トモ手ハ残ルゾ」  田所は何か言いたそうだが、口には出さない。 「マリア」  今度はブチブチッと音と共に人差し指を引き裂いた。 「ぐわぁぁぁ! うっ、うぅぅ……」  今度は悲鳴を上げ転げ回った。 「マリア、押サエツケロ、アマリ時間ヲカケラレン、ペースヲアゲルゾ」 「かしこまりました、博士」  私は返事をすると足で一気に指の骨を砕いた。 「ぐわわぁぁぁ! 言います! 言いますから止めて」 「加賀が、加賀があの時持ち場を離れるのを見ました」 「ホウ、加賀カ、アノ下半身ガ多少優レタ頭脳を乗ッケタ男カ」 「マリア、加賀ノ場所ヲ調ベロ」 「かしこまりました、博士」  田所は自身の指を抱えながら泣き崩れていた。 「アト、田所ヲ殺シテ、出ルゾ、モウスグ警察ガ来ル」  私は泣き叫ぶ田所を始末し、家を後にした。
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