父と娘

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「ドウシタ、マリア、早ク捕マエテ来イ」  博士の命令に私は体を動かせなかった。 「チッ、ナゼ聞けない、愚女メ」  次の瞬間私の全身に電力が走った。 「命令ヲ聞カナイトソノ首ノリングから電流ガ流レルゾ、早クイケ」 「はい……博士」  私は、身体を起こし妻と息子を捕まえた。 「いや、止めて下さい!」 「お父さーん! 助けて!」 「サァ、加賀言ウナラ今ノウチダ」 「博士、止めて下さい! 本当に俺は関係無いんです!」  加賀は土下座をして頼んだ。 「マリア、息子ヲ殺せ」  そう命令され私は、躊躇った、がやらなければまた電流が流れる、決心した後、拳を振るう。 「待って下さい!!」  加賀の静止を聞き私は寸前の所で拳を止めた。 「ナンダ? 加賀、言イタイコトガあるのか? 今ナラ助カルゾ?」  そんな博士の抑揚も救いも無い一言に私は、どうせ殺す癖にと心で呟いた。 「っ……、」  加賀は言うか迷っているのか息を吐き続ける。 「マリア、今スグ息子ヲ殺セ」 「山本が! 山本が何か隠してました」  博士の一言に被せるように加賀は言った。 「山本? 奴ハ研究所内で私ノ言ウコトヲ遵守スル優秀ナ男ダッタガ……」 「マア、加賀ト山本ハ旧友ダ、私ノ知ラナイコトモアルノダロウ」 「博士! 言いましたよ! 妻と息子を離して下さい!」  加賀は立ち上がりこちらに言った。 「サア、マリア二人ヲ殺セ」  その一言に私は、すこし躊躇ったが二人を殺した。 「な……何で……何で殺した!!」 「次ハ山本カ、マリア山本ヲ調ベロ、あと加賀ハ用済ミダ、殺せ」 私は、泣きながら、睨む加賀を殺し家を出た。 「ソウダ、マリア庭ノアレハブランコトイウ遊具だ、アノ板ニ乗ッテ足をバタツカセルコトデ……」  博士は気分が良いのか遊具のことを説明してたが私は、あの男の子の顔が頭から離れなかった。
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