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「山本は孤児院で院長をしています、人からの評判も良いそうです」
「ソウカ、ツマラナイコトヲシテイルモノダ」
私達は孤児院に着くと堂々と中に入っていった。
「イマハ子供モ、中ニイルヨウダ、都合ガ良イナ」
「ええ」
私は孤児院に入ろうと扉に手をかけた時、博士が静止した。
「マリア入ル前ニ、火ヲツケロ、一人デモ逃ゲラレタラ面倒ダ」
私は首のリングに手を当てると従った。
中に入って山本を出すように脅すと山本はすぐに駆けつけてきた。
「マリア、と博士ですか……」
「山本、久シブリダナ、今日ココニ来タノハ……」
「あなたのことだ、あの事故は他人のせいだと決めつけ、あの時の研究員を殺して回ってるのでしょう」
博士の言葉に被せるように山本は睨みながら言った。
「流石ダ、山本、ヤハリオ前ハ優秀ダ」
すこし場が沈黙した後博士は山本を褒めた。
「ダガ、今ノ言イ方ハ良クナイ、他人ノセイ?」
「ええ、あれは事故ですよ、あの場の研究員はあなたの指示を守ってました」
山本は確信を持って毅然と言い放った。
「何ヲ言ッテイル、私ノ実験ハ完璧ダ! 事故ナンテ起コルハズガナイノダ」
博士は怒り叫ぶが山本の態度は変わらない。
「私達は事故が起きないように徹底してました、あなたは少しのミスで研究員に激怒し、解雇してましたからね、そういう場面を見てた僕達は協力してたんです、加賀も田所も」
そういうと山本は悲しそうに言った。
ジリリリリリ――火事です、火事です。
音と共に警報が鳴り響く。
「オ前ヲ売ッタノハ、ソノ加賀ダ」
「マリア、ココニイル全員殺セ」
それを聞いた山本は決意を込めた目でこちらを睨んだ。
「博士そんなことはさせません! 加賀は僕に託したんです」
そう言って山本はこちらに向かい走ってきた。
「何ガ託シタダ、マリア山本ヲ殺セ」
私は山本の腹に腕を突き立てた。
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