別れの春

4/4
前へ
/11ページ
次へ
 これはそれだけの話です。  自分の実の母親かも知れない人と、一時の交流があったという、それだけの話。  その後ももらった絵は大事にしています。多分、一生の宝物になるでしょう。  今でも桜の花開く時期になると、自然とあの公園に足が向きます。サクラさんがいつものベンチで、何事もなかったかのように桜をスケッチしているような気がして。  そしてわたしは、誰もいないベンチで桜を見上げるのです。春の暖かい日差しを浴びながら今年もわたしは、どこかの同じ空の下にいるだろうサクラさんが、今でも元気でいるように願うのでした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加