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その頃、わたしが付き合っていたのは歳上の男性でした。まだ高校生のわたしには、二十代とはいえ社会人の彼はとても大人に見えていました。
車に乗せてもらったり、一緒にお茶を飲んだり、初めてのキスをしたり。そういったことをしていた時はまだ良かったのですが、最近はやたらと自分の部屋に連れて行こうとしたり、ひどい時にはホテルに入ろうとしたりしていました。性的なことを期待しているのは明らかでした。
男性とそういう経験がないわたしには、少し怖いように思えてしまい、かと言ってあまり断り続けていると嫌われてしまうのではないかとも思い、ぐるぐると悩み続けているのでした。
そんなことをわたしはサクラさんに話し、サクラさんはそれを時折相槌を打ちながら聞いていました。
すっかり話してしまうと、サクラさんは言いました。
「ハルちゃんが後悔しないのなら、その人とそういう関係を結んでもいいのかもね」
後悔。このまま進んでしまって、本当に後悔しないのでしょうか。
「サクラさんは、後悔したんですか?」
「わたしは後悔したから、そんな話しか出来ないの。それでいいなら、聞いてくれる? わたしの後悔の話」
そうしてサクラさんは、自分の若い頃の話をしてくれたのでした。
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