6章 「きみには関係ない」

8/20
125人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
 一体どういうことだろう。一ノ瀬から尾野もしくは羽田に送金していたのなら、まだわかる。一ノ瀬が何らかの形で強請られていたとすれば、それが殺人の動機になりえるからだ。しかし、被害者同士の羽田と尾野のあいだで金のやり取りがなされ、そしてその記録を一ノ瀬が燃やしたという、その一連の行動に、果たしてどういう意味があるのか……。 「あっ、まずい。清多さんたちが出てきます。逃げましょう」  そう真実が言うので、遠山はとっさに病棟のトイレに真実を連れて移動した。 「いったいどういうことでしょうね? 羽田さんが、尾野さんにお金をあげていたなんて……」 「さあ。でも、今の話で思い出したことが、」  言いかけたところで、トイレの引き戸がガラリと開いた。現れたのは相澤だ。真実と遠山の顔を見て、「きゃあ」と女の子のような悲鳴を上げる。 「ふたりとも、こんなところで何してるの!?」  真実も遠山も鍵をかけるのを忘れていたのだ。まさかこんなタイミングで相澤が用を足しに来るとは、ふたりとも思わなかった。 「ちょっと……打ち合わせみたいな?」  苦し紛れに、真実が言った。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!