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ここんとこめぐちゃんのいるスナックでよく顔を合わせる人がいる おじさんが多い中で 若いやつは目立つ まあ俺もそうなんだけど   月に何回か ママにいじめられに通ってしまう 初めはめぐちゃんがいるし “行きつけ”はいくつかあったほうが かってがいいと思って通ってたけど 俺はめぐちゃんよりママの方が断然タイプだ 宗ちゃんとかぶることは全くない しゅんくんと呼ばれているそいつは たぶん男女とわず人好きするタイプだ  ここの雰囲気が好きなのか めぐちゃんを気に入ってるのか 俺より来ているようだ めぐちゃんを席に呼んだり デュエットしたり…やたら歌も上手い ママとも話すが 断然めぐちゃんをご指名だ 連絡先きいたりしてないみたいだし ここだけの関係と割りきってるみたいだけど その距離感の近さが俺をやきもきさせる そんなのやつが何故か 昼間の中華料理屋に現れた 先輩らしき人と2人 「いらっしゃいませ」小上がりにいる俺らに めぐちゃんの元気のいい声が聞こえる 「あれぇ まみちゃんじゃん?」そのあとに どこかで聞いたことある声 ちょっと覗くと   “しゅんくん”だ 「あ いらっしゃい」めぐちゃんはさらっとかわしたようだ 「昼間ご飯屋さんで働いてるってほんとだったんだ」 「はい どうぞ」めぐちゃんは席に案内したようだ 「こういうかっこもかわいいね」 「ありがとうございます ご注文決まったら呼んでくださいね」 「おすすめある?」 「うーん お昼はセットが人気ですよ」 「じゃそれ」そんなやり取りが聞こえる 俺も明生も宗ちゃんの気配に黙ってしまう 強い視線でカウンターのほうを見ている宗ちゃん 「おねぇーさぁんお冷ちょーだーい」明生がわざと名前を呼ばずにめぐちゃんを呼ぶ 空気の読めるやつだ 「はーい」めぐちゃんは嬉しそうにこちらにくる その笑顔をみて 宗ちゃんの表情も柔らかくなる
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