1/1

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

宗くんの前でしゅんくんに手を握られた きっとしゅんくんは酔っていて いつもの調子で触れてきたんだろうなぁ でも その瞬間見てしまった 宗くんの冷めた視線が忘れられない あのあとも宗くんたちは普通にご飯を食べに来てくれてる 普通に私にオーダーしてくれるし 前と変わらず接してくれる でももう2ヶ月近くには行っていない なんだか距離を置かれた気がして寂しく感じる 別に付き合っていたわけでもないし 中華料理屋さんでは普通に接してくれてる でも “特別感”は確実に薄れていまっていた 「いらっしゃいませ」 中華料理屋さんの入り口を明生くんが入ってくる 「あっめぐちゃん 今日はあっちは休みなんだね」 「うん 今日は1人?」 「ううん あとから宗ちゃんくるよ」 明生くんの返事に嬉しくなる 「仲良しだねぇ たまには誰か彼女でも連れて来れないもんかねぇ」奥さんが明生くんをからかう でもその言葉にちょっと胸がちくっとする 明生くんにビールとお通しを持って言った直後 お店のドアが開く 「いらっしゃいませ」入ってきた人に自然に笑顔がこぼれる  「こんばんは」優しい声音(こわね)に心拍数があがる  「めぐちゃん今日おれウーロン茶で」宗くんはそう言って小上がりで明生くんと挨拶する まだ仕事あるのかな?2時間くらい明生くんと食事したあと 宗くんは 「今日帰り寄れる?」とお会計しながら私に聞いてきた 久々のお誘いに心臓跳ね上がったけど平静を装って 「何届ける?」と聞き返した 「いや 甘いもの貰ったから 俺1人じゃ食いきれなくて 一緒にどうかなって?」 え?初めてのパターンにとまどいが隠せない 「あ そう言うのはだめ?」無反応な私に 宗くんは質問を重ねる 「あ いや 私いただいていいのかなって」あわてて返事を返す 「あぁ うん 明生は甘いの食わないし田辺も予定あるみたいだし」なるほど消去法か でも他にも友だちとかいるだろうに その中で私が選ばれたのはどんな理由であれうれしい 「甘いものすきだから お言葉に甘えたいです」と答えた  「良かった じゃ 家でまってるね」このほころんだ顔が好きだ 好きな人にこんな風に言われたら 嬉しくない女の子はいないだろう その様子を見ていた奥さんが 「今日は少し早くあがっていいよ」と言ってくれた
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加