1/1

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

スナックの常連であろうが 1人で店にやってきた 酔っているのは明らかだった ついつい警戒してしまう  案の定さらっとめぐちゃんの手を包むように触る 嫉妬できれそうになった瞬間 間に田辺が割って入ってくれた はっとしためぐちゃんの顔が忘れられない きっと彼だけじゃない スナックで働いているめぐちゃんには“ワンチャン”を期待する男がたくさんいる 彼氏でもないのに おかしいくらい独占欲を丸出しにして あのまま感情爆発させてたらと思うと田辺の存在はまじでありがたい あいつにキレたところでめぐちゃんにしてみたら 『あんた何様?』となっていたかもしれない 冷静に 平常心 と自分に言い聞かせた 「最近頼まないね」1ヶ月ちょっとした頃田辺が呟く  「あぁ  今忙しくないし ここで飯食えるから」いや 今部屋で2人きりになる自信がない 「まじで 飯が目的だったんだぁ」ニヤニヤしながら意味深に田辺がつっかかってくる 「めぐちゃんはスナックのおねぇちゃんだからさ 自分から男を口説いてきたりしないと思うけどねぇ」 「何が言いたいんだよ」 「ママに聞いたんだけど めぐちゃん強引な男も嫌いじゃないみたいだよぉ」 「へぇ」 「そんなにクールに構えてていいの?」 どうしても崩れない俺に田辺の方がしびれをきらしてきた 俺だって焦ってない訳じゃない  「怖いんだよ」本音を漏らしてしまう 「うん」 「俺もスナックじゃないにしろ客の1人だと思われてるとしたら…」 「うん」 「わかってるんだよ いつまでも曖昧なままだと ()くすかもってことも」 「うん」田辺に視線をむけると お茶を一口飲んで 前を見ていた 「本気ならさ いつまでもクールぶってる場合じゃなくね?」そう一言いった  その熱い瞳に俺も覚悟がきまった
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加