本気なんだけど

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ママが唐揚げあげてるあいだに さりげなくボックス席に移動して カラオケの端末をいじった  「ホントにボックス来てるし」そういいながら ママが唐揚げとチョコを持ってきて対面に座る ちゃっかりウーロンハイを持ってきて 「いいよね?」と奢られる気まんまんだ それなら俺も譲れない 自分の隣をトントンと叩いて こっちに座ってと合図する 少し見つめあったけど そこはママが折れた ママが隣にすわったので 「乾杯」とグラスを合わせてあげる カラオケで自信あるバラードを入れる  「バラードなんて珍し」そう言うママを少しみてから 何も言わずに バラードを歌い上げる いつもよりちょっと酔ってるママはなんだか うっとりと聴いてくれてるように感じる 気持ちを込めて ママのためにママを思って歌った 歌い終わって ママを見る 少しの間見つめあう ちょっと潤ったママの瞳をじっと見つめる そのまま そっと肩に手を回して 唇に唇を近づける もう少し  のところでママがふっと横を向く 止まれなかった俺の唇はわずかに的を外して ママのほっぺに触れる  「調子にのるなよぉ これは別料金だからねぇ!」と顔を背けるママ 俺のグラスに氷を山ほど入れて ロックを作る いや俺いつも水割りだけど… 「からかってんじゃないわよ」そう弱くいってから俺の口にとチョコをつっこんでくる ほろ苦い味わいが 俺の気持ちみたいに 口に広がっている からかってないのに… ねぇママ 俺 本気なんだけど            おわり
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