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そんなに酔っていなかった 明生に肩を借りたら めぐちゃんが心配そうにしている 「PCどうする?」田辺の言葉にめぐちゃんが 「あ 良かったら 私持っていきます」と立候補してくれたので 酔っぱらいのふりをして お言葉に甘えた 明生はいるけど 好きな女を部屋に連れ込める まぁ明生いるから何もできないし 今の俺にそんな勇気はない 明生がいるのは好都合かもしれない めぐちゃんは 俺の部屋をチラチラ見ている 男の部屋なんて 珍しくもないだろと勝手に心の中で毒づく  明生が俺をソファーまで連れていきながら めぐちゃんに水を頼む 冷蔵庫からペットボトルをだして 俺のそばに来るめぐちゃん なんかいいな 彼女っぽい お店のエプロン外しただけなのに 俺だけのめぐちゃんって感じがする しゃがんでペットボトルを差し出すめぐちゃんに思わず ポンポンしてしまった  しまった! 明生いるし 言い訳も出来ない ちらっと明生を見ると ソファーから立ち上がろうとしてたらしく こちらは見ていない めぐちゃんもそんな明生の様子を見ているようだ ここは酔ってるふりして やり過ごすことにした 水をのみながら  「明生泊ってく?」と自分の気持ちを切り替える 「あ じゃあ私お店戻りますね」 めぐちゃんはいそいそと立ち上がった もっといてほしい そう思ったけど ツンな俺はそれを言えない  「ごめんね送ってやれなくて」と明生がいつものテンションで言う “酔っている”と言う手間 送って行くわけにもいかず お礼だけ言って めぐちゃんを送りだした  「なんか宗ちゃんの部屋なのにめぐちゃんの匂いする」 「きめぇな」明生の発言にツッコミつつ 確かにほのかに残る気がする部屋の空気に めぐちゃんの残像を抱き締めた
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