1/1

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

いつの間にか 宗ちゃんとめぐちゃんの距離は縮まっていた気がする  奥手なくせに 俺と明生のいない時を見計らってめぐちゃんを懐にいれていってるみたいだ それに気づいてないめぐちゃんは鈍感なのか それとも気づかないふりして宗ちゃんに近づいているのか…後者だとしたら 宗ちゃんの上を行く策士だ スナックが休みの日に 宗ちゃんはテイクアウトをお願いしてたりする  例えば餃子 「帰りに届けてくれる?」 「わかりました」満面の笑顔で答える どうみてももう付き合ってる この2人の雰囲気にたまらなくなって 宗ちゃんのいない隙に聞いてみる 「めぐちゃんさぁ 宗ちゃんち行って何もされてない?」ちょっとちゃかし気味にさぐる 「えぇ?なんもされないよー」さらっとかわされる 「でもお互いフリーでしょ?なんか…ねぇ」 「なにそれ?」顔色ひとつ変えないけど視線は俺から反らす 俺はめぐちゃんを見たままでいると 「宗くん優しいからね コーヒーご馳走になったり 帰りは家まで送ってくれたりはするよ」と言われて ちょっとふきそうになる え?家教えてるの?「送ってくよ」なんて家知るための常套句じゃね?それに素直に答えてるじゃん そんなん知らなかったってほどかまととじゃないでしょ?もはやお互いお互いの気持ちに気づけよっ! 「へ へぇ 優しいねぇ」心の中のツッコミを全部飲み込んだところで 宗ちゃんが戻ってくる したたかな2人をながめてからビールを飲み干し 「ご馳走さま 宗ちゃんまたね」と店をあとにする
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加