窮地

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「でも…偶然やったら何んで、こんな事に?」 「あたし数年前にサトルに振られてから、一度も連絡を取ってなくて。でも忘れられなくて。杏ちゃんと出会って、学校に行く勇気も出て、楽しいと思えて……またサトルに連絡する勇気が持てたの」 まじか。 出会いまで疑ってたけど。ほんまに偶然やったんか。 あたしとの出会いが、再びサトルに繋げてしまったなんて皮肉すぎるやろ。 「サトルはもう会わない間におかしくなってて。あたしの事も……もう見てくれなくなって。だから連絡したのは久しぶりで。そしたら……さっきの水瀬に電話はつながった。水瀬はサトルの手下みたいな人。 水瀬に言われたの。『サトルとは会わせない。役に立たない女は要らない』そう言われた。 あたしはもうサトルに会いたい一心で頭がおかしくなってたの。 『サトルに会いたいなら、この女を探してみろ。見つけて連れてきたら、サトルにあわせてやる』 そう言われたの」 サトルには会えずに、水瀬の駒として動いてしまったと。そう言った。 「水瀬が見せてきた写真が杏ちゃんで…つい反応しちゃったの。知ってるって。そしたら水瀬が……連れてきてくれって。もちろん最初は断ったけど…… 水瀬は、杏ちゃんのせいでサトルの人が変わってしまったって言った。過去に杏ちゃんのせいで、傷を負って…まともな恋愛ができないって聞いたの」 頭が真っ白になる 水瀬は何を考えてる? サトルは今回の件、全く噛んでない気がする。 「あたしは…サトルのことをよく知らん。ただずっと執着されてたのは知ってる。あいつはあたしの家族を殺した。あたしが恨んでるねん。 あいつは……あたしが苦しんでるのをみるのが好きやから。こうやって直接手を下してくることは無いと思ってた。 で、水瀬が今回全部手引きしてるなら、それで納得。紗羅ちゃんは、水瀬にいいように使われただけや」 そう ただ『利用』されただけ。
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