窮地

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「あたしは、サトルに人生を潰された。家族もバラバラ。あたしの未来なんて光さえなくなった。それは何があっても変えれることじゃないし、他人にとやかく言われる筋合いもない。 紗羅ちゃんが何を聞いたか分からんけど、あたしはサトルに何もしてないし、ちゃんと話した事もないし…… 目を合わせて話したのは、殺してやろうとあいつを探し回って見つけた時だけやで」 苦しい 投げやりに話してしまう。 驚く紗羅ちゃんを哀れみの目で見る。 「あた、あたし……せっかく杏ちゃんと友達になれて嬉しかったのに!!ごめんなさい……恋に溺れてたの…どうしても、好きだから、サトルにまた会いたかったの!!」 これが紗羅ちゃんの素直な気持ち。 心の底から出た言葉。 それが聞けたらいい。 恋愛は人をおかしくするとは、よく聞く話。 「最初から騙されてなかったって分かったから、それだけ救いやわ」 ごめんなさい… そうまた泣き叫んでしまって、話せる状況じゃなくなってしまう。 とりあえず分かったことは、スコーピオンの幹部の水瀬が、独自でやった計画。 紗羅ちゃんがあたしを知ってたから、紗羅ちゃんを使って、あたしをおびき寄せた。 まぁ紗羅ちゃんとあたしが繋がってるって知っててけしかけたと思うけどさ。 そこまではまぁ、わかる 紗羅ちゃんも、サトルが好きやからって、水瀬の言うことを聞いた所はよく分からんけど。 何か理由があるんやろう。 ま、今聞ける状態ちゃうけどさ。 ここでや。 何が目的かやな。 サトルに言わずにあたしに接触して拉致。 何がしたい? サトルを解放って言ってたなぁ? ほんま黙れよ 拳に力が入る まずはこの手を縛ってる紐を外さなあかん。 「紗羅ちゃん!話は後でええから。ここを出てからなんぼでも聞くから。とりあえずこの紐解いてほしい」 泣きじゃくる紗羅ちゃんの目の前に、両手をずいッと出す。 「む、無理だよ。ここから出るなんて出来ない。グス」 「泉たちも来てくれる。諦めるならこれ解いてから諦めて!」 グズグズ言う紗羅ちゃんにイライラしてきた。もう起こってしまったことは、元には戻らへん とりあえず、今をどうするかや
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