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貶されてることは分かる。
「で?単刀直入に聞くけど、何させたいの?」
サトルが何かするわけでもなく幹部が動く。こんな事はなかったから。
「そうだな。サトルの中からあんたを消したいんだよ」
水瀬の言葉は、分かるようで理解できない内容だった。
「そんなこと言うなら、あたしの記憶全てから、サトルの事を消し去りたいんやけど?」
あいつさえいなければ。そう何度も思った。
まぁ座りなよ。
水瀬はソファを指さしたので、一応従ってソファに腰をかける。
躊躇いもなく水瀬は隣に座り、誰もいない部屋に、2人でソファに座っている。
いつ仕掛けてこられても大丈夫なように、気を張る。
「サトルはさ、あんたのことばかり考えていてね。昔みたいに一緒に悪さをしなくなったんだ。俺はね、また暴れたいんだよ。サトルがしてたように、暴れまくりたいんだよ。
なのに最近は、口を開けば、君をどうやって自分の物にするかと悩むばかり。
嫌なんだよね。サトルが1人の女に執着して、俺らスコーピオンの名が廃るのは」
あまりの理不尽な内容に吐き気がする。
「あたしがサトルに何した?」
「……春に彼を刺したとか?」
「執着されてる理由がわからへんって言ってんねん!なんの接点もないのに」
ほんまに昔からそれが分からへんかった。
あたしはサトルとなんの接点もない。
やのに…こんなことされる理由がわからへん。
でもそんなあたしを鼻で笑った。
「接点がないと思ってるのは、あんただけだよ?だから、あんたがこうやって今拉致されてるのもあんた自身のせいだ。烈火が巻き込まれているのも、あんたのせい。
そして……春に妹が死んだのも、あんたのせいだ」
水瀬の言葉は
催眠術のように
あたしに、お前のせいだと言い聞かせた。
分かってるよ。
全部あたしが原因なんも嫌と言うほど分かってる。
ただサトルがあたしに執着するのは、あたしのせいではない。他の事は…あたしのせいだとしても。
「ふ。絶望してる顔の方があんたは綺麗だね。そこの所だけサトルの気持ちもわかるかな。サトルは、あんたが涙を流して抜け殻のようになって、絶望してる顔が大好きだと言っていたなぁ」
どこまでも悪趣味な集団。
水瀬は隣であたしの髪に触れて、横から顔が見えるように、あたしの髪を耳にかけた。
「どうして髪を切ったんだ?まさか妹になるつもりかな?」
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