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耳元でそう言われて……
もう我慢などできなかった。
別にサトルだけちゃうねん、あたしが恨んでるのは。
右手に力を入れて、その手に体重をかける。
「お前が……お前なんかが鈴の話をするな!!!!」
水瀬の身体に馬乗りになり、あたしの右手は水瀬の首元に。
腕を真っ直ぐ突っ張って、体重をかける。
苦しく歪む顔はあたしを睨みつけた。
「は、なせ」
「……命令すんな。あんた1人ここでどうしようが、揉み消せるねん。だから、大人しくサトルの居場所を吐いて、あたしを解放してくれる?」
今更こいつら手にかけたって、あたしの心は乱れへん。
全て終わらせれるなら…
このチャンスを逃しはしない。
「もし…この部屋を出るときに…お前が俺より先に部屋を出たら…
烈火の奴らは、殺せって言ってある」
苦しそうに言葉を紡いで
水瀬は、ニヤッと笑った。
無意識のうちに、水瀬の首を押さえつけていた右手が緩んだ。
その瞬間、起き上がった水瀬にソファに押しつけられる。
右手…
昨日捻挫したところが痛い。
「馬鹿だよな。お前とつるむなんて。チームを、人の輪を壊すのが得意なのにな?烈火も馬鹿だ。お前みたいなやつを側に置くなんて」
その言葉は重くのしかかった。
「お前はみんなを不幸にしてる」
分かってた
もしスコーピオンが出てきたら、烈火も巻き込むって。分かってた。
あたしが甘えただけや。
みんなの優しさに。
その時に離れればいいなんて甘い考えしたからや。
「3人。いつでも痛めつけれるようにスタンバイしてる。赤髪のやつと、少し背の低い栗毛の男。あとは総長の金髪。
既にこの敷地に入ってきている。いつでも、殺れる。
お前は俺の言うことを聞くしかないんだよ」
そっか。相変わらず早いな。
もう助けに来てくれたんか。
それだけでいいや。
もう一度だけ……
杏として、何か大事なものが欲しかっただけ。
もう十分や。
「烈火には…手出さんといて」
あたしの上にいる水瀬は、あたしの言葉を聞いてとても満足そうに微笑んだ。
そして右頬に激痛
叩かれた…
「馬鹿力で首締めやがって!鬱陶しい女だ!」
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