窮地

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『さっき響から電話きました。変なやつを見つけたから、跡を追ってるって。他のメンバーには私有地へ行くように言います。しかし……その私有地調べてみたんですが、持ち主が分からなくて。昨日誰かに譲渡されたみたいです。怪しいかもしれません』 昨日って…くさいな。 フェンスでぐるりと囲まれてる私有地。 もう残りはここしかないから、躊躇いはしない。 杏に電話をさっきから何度も電話をかけるが繋がらない。携帯はその辺に落ちてなかったから、持ってるはずなんだけど。 やっぱ杏の携帯にもGPSつけよう。 そしてもう一度電話をかけたとき。 繋がった。 『あれ?烈火の総長さん?今いいところだけど、くる?場所教えようか?』 少し気の抜けたふざけた声が聞こえた。 「テメェ誰だ?」 嫌な予感がする。 フェンスを越えて、中に入る。 荒れた畑や、何かの廃材がいっぱいある。 『だから、今いいところなんですって』 「…杏はどこだ」 『今からヤろうかな、と。あまり抵抗ももうしてないし。あんた達がそのまま関東に帰って、何事もなかったかのように過ごしてくれるなら、ここで彼女に手は出しませんが』 聞こえてくる言葉全てが理解できない ヤられる?抵抗はもうしてない? 待てよ 「杏を諦めれば、何もしないって?」 どう言うことだよ。 スコーピオンは、杏の周りを傷つけて、杏を苦しめるんじゃないのか? それに 手を引けってことか? 『あんた達に扱える女では無いでしょう?この女のおかげで、こちらも色々と振り回されてるところだ。さっさと終わりにしたいんですよ』 こいつは何を言っているんだ? 杏をどうしたいんだ。 何か言おうと思ったが、少し遠くの建物の影から、男の影が見えた。 近いかもしれない そしてかなりの人数がいる 一人で…いけるか? 『やめて!』 「杏!?」 電話から杏の声がする。そこに居る! 『じゃ、スピーカーにしておいてあげますね?状況が分からないと不安でしょうし』
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