窮地

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くそ 「一歩でもうごくな?杏の場所を言え」 歩いていた男の背後に周り首に手をかける。 もう手段は選ばない。 ぐっ… 「苦しいだろ?言えよ。力緩めてやるから」 「う……ち、か」 「は?」 「地下に…」 落ちやがった。地下?どこかに下に行ける場所があるのか? 杏の声が電話から聞こえて来て、心臓が痛い。 『やれやれ。さっきまで抵抗しなかったじゃないですか。怖くなったか?それとも……この烈火の総長さんには聞かれたくないとか? そんな睨まないでよ。 特別に、あなたの相手は俺がしてやるから。犯されてるところの動画を撮りたいだけだから、別に人は誰でもいいんだけどあんたも楽しくないと嫌でしょ?』 電話から男が杏に話しかける内容が聞こえてくる。最悪な状況だ。 「お願いだから…やめてくれ。何が望みだ?」 身体が震える。 杏のそばに今すぐ行ってやりたいのに。 地下に行く場所なんてどこにもない。 『泉先輩!!焼却炉のそ…キャァ!! 紗羅ちゃん!!!やめ!  ブチッ』 「おい!切るな!待って」 リダイヤルしても繋がらない電話。 最後に…長谷川の声がした。焼却炉?って言ったか? どう言うことだよ 長谷川もスコーピオンの仲間じゃねーの? 理解が追いつかない 「新!私有地だ。近くまで車出してくれって、海斗さんに頼んでおけ。良くないかも」 『……わかりました』 間に合え 間に合ってくれ 広い敷地を走り回って焼却炉を探す。あの女の言葉に耳を貸すつもりもなかったが… あの声は、嘘はついていない そこに朔と響が走って来た。二人とも少し傷を負っているが、大丈夫そうだ。 「ごめん、手こずった!」 「話してる暇はない。焼却炉を探せ。その近くに地下にいく何かがあるはずだから」 全部はっきりと聞いたわけでもないし、確かな情報かも分からないけど、此れにすがるしかないんだ。 「杏は?大丈夫なのか?」 「……わかんねぇ。手遅れになる前に。探すぞ」 曖昧な返事しかできない自分に嫌気が差す。 本当に手を引けば、杏は助かるんじゃないのか?と、そんなふうに考えてしまった自分が許せない。 すると携帯が鳴る 『ちょっと、最後にお別れの言葉でも言ってもらおうかと思ってね』
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