113人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたしを巻き込んだんは、お前らやろ!」
あたしが何したっていうねん。
解放してくれるなら……してよ。
悔しくて涙が溢れる。
意味分からん。なんでこんな事言われなあかんのか。
「あ、んちゃん」
あたしの上に寄り掛かっていた紗羅ちゃんが声を出す。
小さな声に耳を傾けようとした時、身体に振動が伝わる。
「や、やめてよ!」
水瀬はあたしに話しかけようとした紗羅ちゃんの背中辺りを容赦なく蹴飛ばした。
紗羅ちゃんの頭はあたしに乗っかっていた為、振動が伝わる。
咄嗟に紗羅ちゃんの身体に覆いかぶさる。
わけわからんやん!
仲間じゃないの?
「へぇ?この女のせいで、捕まってるのに庇うの?よくわかんないね、あんた」
「うっさい!あんたこそ仲間やないの?なんでこんな事するんよ」
ゲホゲホと苦しそうにむせる紗羅ちゃんを、まるでゴミでも見るような目で水瀬は上から見る。
「その女は用済み。好きな男のために良くやるよ」
鼻で笑う水瀬は、紗羅ちゃんの髪を掴み立たせようとする。
必死に上に覆いかぶさり、水瀬の手を引き剥がす。
なんて力や…
水瀬の手からはハラリと紗羅ちゃんの髪が数本落ちた。
「なぜ庇う?むかついたろ?裏切られて。だからこっちで見るに耐えない姿にしてあげるんで、貸してよ」
「あたしがムカついたとして、その仕返しをお前がする権利はない。まずあたしに何させたいか言え。もう紗羅ちゃんが用済みならここから出せばいい。あたしだけここに置いておけばいい」
別に庇うわけではない。
ただ、そこまでする必要ないし、後味も悪い。あたしの知ってる人にそんな事してほしくないだけ。
「うっとおしい女。こんな女の何がいいんだか」
吐き捨てるように、水瀬はそう言って、あたしと紗羅ちゃんをその場に残して部屋を去った。
ひとまず助かった?
「大丈夫?怪我してへん?」
ぐったりする紗羅ちゃんを縛られた手で支える。
紗羅ちゃんの目からは涙が流れ続けている。
「泣きたいんこっち」
これは本音
泣きたいよ、あたしも。
まさかスコーピオンと繋がってたなんて。それに今の状況も。泣きたいよ。
「紗羅ちゃんは、スコーピオンのメンバーなん?」
ビクッとして、頭を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!