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わたしがいると空気はものすごくひんやりとした冷気が漂って、発言でもしようものなら自分が透明になってしまったかのように悉くスルーされてしまう。
周りが仲良くなりたいのは瞳だけであって、わたしではない。そう釘を刺されているような気がして、場の空気を乱さないように笑うことだけを務めた。
だれも不愉快にさせなければいい。わたしと瞳とではちがうけれど、それでも同じ空間にいなければならないのなら、笑っていればそれでいい。
こんなの慣れっこだったのに、高校に上がった瞳はますます人気に拍車がかかった。
もともと容姿が整っていたこともあるけれど、薄っすらと化粧をするようになったからだろうか。瞳の端正な顔立ちが目立つようになった。
周囲を真似た。同じような恰好をすれば仲間に入れてもらえるかと思えばそうではない。スカートを短くしてみたり、すこしだけ化粧を施したり、髪の毛を巻いてみたり。小さな一歩も、周囲に沸き起こるのは乱反射するような冷笑だけ。
そうした積み重ねを続けていると、熟した果実がぷつっと爆ぜるような、限界を迎えてしまうような感覚に襲われる。
なにが違うのか、わたしにはわからなかった。
瞳と同じようなことをしても、周囲を真似てみても、わたしは大量生産されたような女の子からはいつも弾き出されてしまう。
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