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焦ってやや乱暴を働いてしまったことに気づき、慌てて「すまない」と謝意を述べる。
最近の僕はどうも可怪しい。天宮くんを目の前にして、こんなにも荒く心持を掻き乱されてしまうなんて、どうかしているのだ。
「天宮くんは、僕との遊戯を好いてはいなかったのかい?」
僕は少し天宮くんから距離を取る。またしても天宮くんを怯えさせてしまうような真似事などしたら、それこそ本当に僕から離れてしまうだろう。
「そうではないのです。貴方の心持が僕には理解できない。僕を……弄んでいるだけなんじゃないのかと……僕は近頃、自分が単なる淫婦なんじゃないかと思い始めてきたのです」
天宮くんは微かに体を震わせ、着流しの襟元を指先で手繰り寄せる。その姿が身持ちの固い女のような仕草に見えた。
「そんな事は断じてない。今もこうして君は恥じらっているではないか。僕はそんな目で君を見たことはないよ」
僕は宥めるように訴えかけた。天宮くんがそんな風に感じていたのなら、僕は本当にすまないと後悔の念が沸々と湧き上がる。こんな風に誰かを慮る事などこれまでになかったのに、天宮くんの苦しげな表情を見ていると、胸の奥が途端に苦しくなってしまう。
「貴方は……どうして僕なんかを抱くのですか? 僕は貴方に好かれていると最初は思ってみたこともあります。でも……鎌頼に関しての事はどうにも納得がいかないのです。鎌頼をけしかけて、僕にあんな事を……」
「それはすまなかったと思っている。だからこうして、君に色々尽くしているではないか。これでも君は僕を許してくれはしないのかい?」
涼しい河原にいるせいなのか、少々湯冷めしてしまっているのだろう。僕の額や背に冷たい汗が流れ落ちていく。
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