裸の二人

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裸の二人

「・・・んっ・・・」 「雅哉、大丈夫か?」 「・・・ん・・平気だから・・」 「ここまでと思ったら、直ぐに言うんだぞ?」 「・・大丈夫・・嬉しくて・・嬉しすぎて死にそう」 「ばか・・冗談でもよせ」 吐き出しの窓辺のレースのカーテンが少し揺れている。 拓也は「ちょっと待て」と言い、窓を閉めに立ち上がった。 少しの隙間から入ってくる風の具合を確かめ 「このくらいなら平気か・・」と呟いた。 振り向くと、上気した顔の雅哉がこちらを見ていた。 「眩しいね・・」 目を細めて雅哉が言うと 「あぁ、この部屋南向きだしなぁ」 と拓也が言うから、吹き出してしまった。 「?なにが可笑しい?」 「いや、別に・・」 雅哉の目に眩しかったのは、 差し込む日の光ではなく、拓也なのだ。 良く引き締まった拓也の背中が眩しくて この背中をずっと忘れないでおこうと、雅哉は目を閉じた。 二人は、長い年月を経て・・・ 今、産まれたままの姿をお互いに晒しながら 一つのベッドに横たわっている。 「・・・はっ・・ん・・・」 「雅哉・・」 「・・もっと・・もっと名前呼んで・・」 「いくらでも呼んでやるから・・」 いつもは透けて向こう側が見えてしまいそうに白い雅哉の肌が いまは、拓也の腕の中でうっすらとピンクに色図いている。 綺麗だな、愛おしいな・・ 自分の胸に顔をうずめて喘ぐ雅哉を見ながら 「十年分、いくらでも名前呼んでやるさ」 と、拓也は独りごちた。 名前を呼びながら陰茎を握り、更に上下にこすりながら 体中にキスを落とすと、雅哉は直ぐに達した。 「おまえ、ほんと敏感だな・・・」 「・・ハァハァ・・・それ褒めてる?」 「どうかなぁ・・・」 「・・それとも・・自惚れてる?」 「あぁ・・そっちが正解か、な?」 ちょっと呆れ顔の、涙と汗で濡れた雅哉の顔にキスをすると 安心したように目を閉じ、直ぐに浅い眠りが彼を襲った。 ここまで、数回の行為でしかないが・・・ どうやら、雅哉には日に一回が限度らしい。 「ほんと、気を付けないと・・だな」と拓也が呟く。 汗で額に張り付く茶の癖っ毛を、そっと()いてやる。 目を覚まさない様子を確認した拓也は サイドテーブルの脇に常設してあるタオルウォーマーから 温かいタオルを一枚取り出し、広げて少し冷ます。 (まるで理容師みたいだ) 我ながら手際が良くなったと拓也は思う。 以前、取り出したそのままを雅哉の陰茎に充てた所 「あっちいぃぃ!」と驚くほど身体が飛び跳ねたから それ以来、広げて少し覚ますことにしている。 ケットをそっと剥がし、陰茎のゴムをこれもそっと抜き取る。 ゴムの先を一回だけギュッと結び、ゴミ箱に捨て 少し冷ましたタオルで拭いてやると「・・ん」と反応するが いつものように、雅哉が目を覚ます気配はない。 使い終わったタオルを、専用のバケツに入れた拓也は はた、と動きを止め、一連の流れが既にルーティン化していることに 改めて「可笑しいな」と思い至り、クスっと笑った。 「さて・・・」 最初は困難に思えたこの遠大とも無謀とも言える計画が 予想に反して、着々と進んでいることを実感し 拓也は、雅也が目を覚まさないように 彼の薄い体の肩元までケットをかけ直し 「次は・・・」 と明晰な頭脳をフル回転させながらそっとベッドを抜け出した。
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