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2 田中ルートを選択
どうやら乙女ゲーに転生した俺は、真宵という名の女子高生として生きることになったらしい。
スクールカーストで中の上に位置する田中は、俺の席の右隣。休み時間頻繁に俺に話し掛けてくる。
「なあ真宵、生徒会に入るんだって?」
生徒会長を攻略する為だろうか、俺は生徒会の書記になる予定だ。
「うん。選挙が通ったら」
「俺は真宵に入れるよ、絶対」
「ありがと田中くん、嬉しい」
しかし馴れ馴れしいな田中。呼び捨てを許した覚えはないのだが。内心むっとしながらも、俺はにこりと笑いかける。真宵スマイルが可愛いのを、俺はイベントスチルを穴が開くほど見て知っている。
大体乙女ゲーというのは、感情移入しやすくする為か、ヒロインの顔が曖昧だったりすることが往々にしてあるが、このゲームは絵師の神絵が際立つ。そしてエロ絵は至高の仕上がりだ。元々それ目当てだったしな。
個性を消しながらも可愛い女の子に仕上げられた真宵は、モテる。逆ハーレムという奴だ。
既に選挙イベントが始まっているようだ。ここで複数の選択肢をかいくぐり、当選しなければ会長ルートには乗れない。しかしあえて、田中ルートを選ぶのも一興ではないだろうか。全ルート攻略したいしな。
A「田中くん、今日の放課後暇かな?」
B「選挙のスピーチ練りたいんだけど、聞いてくれる?」
俺はAを選んだ。
田中は一瞬目をぱちくりさせてから、照れたように破顔した。実は田中、転生前の俺に顔が似ている。だからだろうか? 真宵を田中ルートに乗せる為、結構やり込んだ。
「真宵どっか行きたいとこあるの」
「スピーチの本、見たくて」
「そんなんあるの?」
「一緒に探して…くれるかな」
おねだりするように上目遣いで見つめると、田中はほいほい了承した。
男ってチョロいな。まあゲームだしご都合主義なところはあるのだろうが、リアリティには欠けるかも知れない。
俺達は放課後、駅に向かう途中にある本屋に行く。小さな街の本屋には、イケオジ店員がいたりする。
「よ、真宵ちゃん」
この本屋の店員はやはり真宵に気がある。逆ハーレムなのでフラグがあちこちで立つのだ。けれどあまりフラグを立てすぎても、誰のルートにも乗れずに友達エンドでスチルもほぼ回収出来ない。ここはスルーの方向で、田中に集中したい。
「彼氏と一緒か? アオハルだねえ」
店員が茶化してくる。
ここで選択肢。
A「まだ彼氏じゃないです」
B「もー、そんなんじゃないですよう」
C「からかわないで…ください」
ここでCを選ぶと店員ルートに乗る。めくるめくイケオジとのラブ。しかしこれは闇落ちルートだったりするので危険大だ。
俺はAを選ぶ。実はずっと選択肢Aを選ぶと、田中ルート確実だ。
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