愚者の行進

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ひび割れたコンクリート擁壁のすぐそばに制御を失った肉の塊が二つ、無造作に転がっている。 よく見ればそれは人の形をしていて、もっと近くに寄ってみるとなんとびっくり。僕の仲間のクウィンとブレナーだった。 二人のカラダは穴だらけ。 手足は今にもプツッといっちゃいそう。 筋肉と骨とをつなぐコラーゲンたっぷりの繊維が汚れた皮膚の間から見えてしまっている。 「ごめん、貰うね。君にはもう必要ないだろ」 僕はそう言って、仰向けで倒れているクウィンの前で膝を屈める。 クウィンは血だらけのAKを大事そうに胸の前に抱えていた。僕は引き金にかかっている彼の指を一本一本丁寧に外しにかかる。 その時だった。 フルオートの連続した射撃音が鼓膜に触れる。 直後、 誰かの絹を裂くような悲鳴。 また僕と同い年の子供が死んだ。それもかなり近くで。 断末魔の叫びは崩れかけた建物の間で反射と共鳴を繰り返す。 僕はクウィンの手からAKを奪い取った。 そして、スリングを自分の右肩にかける。 悠長に死者を弔ってる場合じゃない。敵が迫っている。
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