プロローグ【ドラゴニア】

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探索に同行した仲間の内2名が眠りこけているが、乱暴に蹴り起こして現状を把握させる。 「エクスプロギオン火山が噴火した!」 片方は慣れたもので、慌てながらも身支度を完了させた。 煤でくすんだ金髪の寝癖と着崩した探索服から覗く黒い肌はそのままのズボラなジーニーはリュックサックを背負う。 「マサト隊長、どっちに逃げますか?」 退路は長々と進んできた遺跡入口と、まだ見ぬ遺跡深部。 「好奇心を優先するなら俺は深部に行きたい!」 奥歯を噛みしめる。 それが出来ないからだ。 深部へと向かえば最悪発生したドラゴンに生き埋めにされてしまう。 ジーニーに遅れて数分、ようやく身嗜みを整え終えたカルラがやってきた。 黒髪のツインテールと三白眼の黒目が特徴の女性だ。 眠そうな目をしているが、常にこんな感じなので今更突っ込む程でもない。 「何を呑気にしてんだカルラ!」 その横でジーニーが吠えているが、急いては事を仕損じるというモットーなのがこのカルラ。 何事も丁寧でジーニーとは真反対な性格をしている。 「ジーニー、女の子なのですから、胸元ぐらい閉じなさい」 カルラに言われてジーニーは反抗するように上着のボタンを全開にした。 カルラが眉間に皺を寄せて不快をあらわにしている。 「マサト隊長からもジーニーに言ってやってください」 カルラから言われてマサトは天を仰ぐ。 「目のやり場に困るし、外に出たら出たで火山灰で火傷するぞ」
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