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 「あの、コレごちそうさまでした。おかげで助かりました」  「おめえ、これからどうすんだ?」  「里の皆を探します。きっと無事に逃げ切れた仲間が他にもいると思うので」  そう言って歩き出そうとしたたぬきでしたが、突然後ろ足に激しい痛みを覚えてその場にペタンと座り込んでしまいました。  「いててて……」  「おめえ、これケガしてんでねえか」  たぬきの後ろ足の様子を見て、赤八は顔をしかめました。  「そうみたいです」  「そうみたいですって、間抜けなたぬきだな。腹ペコばっかに気取られてケガにも気付かなかったなんて」  「仕方ねえ」赤八はそう言ながら、簡単な手当てをし始めました。  「手当てまで、ありがとうございます」  「まあ、おら医者だかんな」  「お医者さんでしたか!」  「嘘だ」  「ぷへえ」  ケタケタと笑いながらもケガの手当てをしてくれる赤八を見て、嘘つきだがきっと悪い人ではないのだろうと、たぬきは感じていました。  「まあ、簡単に手当てしたけども、すぐに治るってわけじゃねえからな。仲間のことも心配だろが、その足じゃ山登るのも大変だ。良くなるまではここで休んでけ」  「……では、お言葉に甘えてお世話になります」  少し考えた後で、たぬきはそう言って小さな頭をぺこっと下げました。  「ところで、おめえ名前はあんのか?」  「ありますよ」  「どうせ、『ぽん吉』とか『ぽん太』とかだべ」  「『ぬれ蔵』です」  「ダメだぁ」  「え?ダメ?」  「たぬきらしくねえ。そんな名前はダメだぁ」  「そんな勝手な。それに『ぬれ蔵』はオイラ達たぬきの間ではよくある名前です」  「それでもやっぱりなんか変だ。おめえは『ぽんぽこたぬき』でいいべ」  たぬきはいろいろと思うところはありましたが、とりあえず赤八の好きなように呼ばせることにしました。    
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