1人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の青空はどうしても、
好きになることができなかった
見つめているだけで焦燥感に駆られる。
何か大事なものを忘れたような気がして。
いくら考えても思い出すことが出来なくて。
何事も嫌になる。
視界に入ってくる1面の青を遮るように障子を閉める。しかし障子に青色の光が反射する。
それはどこへでもついて来たがるようで、
どうしても小さな不安感を拭えなかった。
誰もいない空間でため息をつく。
その音は1人の部屋に響くことも無く消えた。
気づけば時計の秒針の音すらしなかった。
手元には何も残らなかった。
一人、焦っていた。
何かを待っていたはずだった。
何かになりたかったはずだった。
その何かすらも忘れた。
ただあるのは目の前の青く澄んだ空だった。
最初のコメントを投稿しよう!