片想い

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片想い

 突然、目を覚ました。まだ心臓の鼓動が激しい。ベッドから起き上がり呼吸を整える。 「……夢……」  首を大きく振って、溜息を吐く。  時計を見ると午前七時を回った所だ。私はそのままシャワーを浴びた。汗を洗い流しながら、先程の夢を反芻して少しだけ”にやけて”しまう。 「……俺と付き合わないか……だって……」  そしてまた落ち込んでしまう。  だって、そんな嘘みたいな事が起きる訳がない……。これは私の片想いだから……。  シャワールームから出て自室に戻り高校の制服に着替える。そして階下に降りると台所で母が朝食の準備をしていた。 「お母さん、おはよう。お父さんは?」  台所から顔を上げ母がニッコリと笑った 「おはよう。奈津美。もう出かけたわよ。さあ、朝食の準備、今、出来たわ……」  私は大きく頷くとダイニングのテーブルに座って、朝食に箸を付けた。テレビから朝のニュースが流れて来る。 「昨日、午後三時頃、福岡市美術館で自爆テロが有りました。この爆発で犯人を含む九名が亡くなり、十八名が重軽傷です。この爆発は先月から大阪、名古屋、札幌で起こっている自爆テロと同様、SNS上で『嘘つき政府を倒せ』の名前で犯行声明が出ています」  テーブルに座った母がテレビに顔を向けた。 「怖いわね。早く犯人が捕まってくれれば良いけど……」  その母の呟きに私も頷いていた。
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