プロローグ

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プロローグ

 沖縄、アメリカ空軍嘉手納基地。  西方から飛来したヘリコプターが、空軍の小型VIP用輸送機C―37Bの横に着陸した。  ヘリから降りた黒服の男性が、アタッシュケースを携え、C―37Bのタラップを足早に駆け上がる。彼は機内に入ると操縦室(コックピット)で離陸の準備を進めているパイロット達に声を掛けた。 「デイブ少佐、ダグ大尉。アンドリュース空軍基地まで宜しく頼む」  その声に機長席のデイブが応えた。 「了解です。アンドリュース基地まで七千六百マイル、約十六時間の長旅になります。ゆっくりお寛ぎ下さい」  男は頷くと客室(キャビン)に向かった。  副操縦席のダグがデイブに問いかける。 「大佐、彼を本国(アメリカ)へ運ぶのですね? どういう素性の人物なのですか?」 「ああ、彼はCIA(アメリカ中央情報局)だ。でも運ぶのは彼じゃなくて、あのアタッシュケースの中身だぞ」 「えっ? 中身って?」 「ダグ、それは最高機密(トップシークレット)だ」
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