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発情期が始まった。
それは僕たちが並んで食後のお茶を飲んでいた時だった。
朝からほてった身体がさらに熱くなったような気がしたその時、心臓がどくんと大きく鳴った。それを皮切りに、鼓動がどんどん早くなって息が上がってくる。
隣にいた葵くんはそっと僕の手からカップを取ってテーブルに置くと、そのまま僕を抱えて立ち上がらせた。
「ベッドに行きましょう」
がぐがくと震え出した身体は葵くんの香りに煽られ、後ろが濡れるのが分かった。
早く・・・。
僕は移動するのももどかしく、その場で葵くんを欲した。だけど葵くんは落ち着いて僕の膝裏に手をあてると、ぐいっと持ち上げる。
「すぐですから」
お姫様抱っこをされて、僕は葵くんの首にしがみつく。
いつもと同じなのに、いつもと違う香り。
葵くんの香りがいつもよりねっとりと僕の鼻腔を刺激し、身体の奥をざわつかせる。
「・・・ふ・・・ん・・・んぁ・・・っ」
僕はただ抱っこで運ばれてるだけなのに、その濃ゆい香りと振動でイッてしまった。
なのにそこは萎えることなく痛いくらいに昂っている。
いつも一人で迎える発情期はこんなんじゃない。ぬるいお湯に浸かっているようにゆるゆると生温い熱に浮かされ、自分で扱き、出すだけだった。こんな激しくも、熱くもなかった。
葵くん・・・葵くん・・・。
僕は愛しい番の名を呼ぶ。
「いますよ。奏さん。オレはここにいます」
いつの間にかベッドに寝かされた裸の僕に、葵くんもまた、裸の熱い肌を重ねた。
それだけでまた軽く達し、びくびくと痙攣する膝を開かれ、持ち上げられた。
早く・・・早く欲しい。
本能が葵くんを求め、空気に晒されたそこはひくつきながら溢れる蜜を流している。
「愛してます。奏さん」
優しい囁きとともに、葵くんの熱い猛りが僕の蜜口にあてがわれ、少しずつ押し入ってきた。
「あっ・・・あぁ・・・ぅ・・・んっ」
欲してやまないアルファのそれにそこは蠢き、僕は腰を揺らして奥へ奥へと誘う。
葵くんは最後まで収めるとさらに身体を折って体重を乗せ、そのもっと奥まで昂りを押し込んだ。
「ひっ・・・ゃ・・・あ・・・あぁ・・・っ」
最後のひと押しが降りてきた子宮にぶつかり、視界が飛ぶほどの快感が僕を突き抜ける。
尚も小刻みに子宮を刺激され、僕は何度目か分からない精を吐き出した。
もはや閉じることを忘れて声を上げ続ける口を塞がれ、舌が侵入してくる。
何も考えられない頭はそれを受け入れ、されるがままに口内を犯されていく。
その間も穿たれた昂りは激しく抽挿され、その度にがんがんと先端が子宮にぶつかり僕を揺さぶり続ける。
その刺激は高みに上り詰めた身体に一瞬も戻ることを許さず、快感を与え続けた。
僕はもう何も考えられない。
頭も心も身体も、僕のすべてが葵くんで埋め尽くされていく。
追いつかない呼吸に酸欠を起こしかけた僕の口を離し、葵くんの唇は耳に移動した。
ぐちょぐちょと耳を舐められ、耳朶を噛まれる。
いつの間にか這ってきた手に胸をまさぐられ、また違う快感が僕の身体を支配する。
そこはもう、赤ちゃんのための吸口ではなかった。
胸全体が性感帯と化し、その先端はさらに敏感になって僕を追い立てる。
「あ・・・あぁん・・・んぁ・・・」
子宮がきゅうきゅういって、アルファの精を欲しがって中を締め付ける。
すると、急に繋がったまま身体をひっくり返されたかと思うと、熱い昂りを一気に最奥まで捻じ入れられた。
「ひっ・・・っ」
葵くんはそのまま身を沈め、静かに身体を震わせると小さく呻いて勢いよく子宮の中に精を放った。
そこは待ちに待ったアルファの精を一滴も漏らさぬように蠢き、締め付け、全てを絞り出そうとする。
葵くんはその締めつけに小さく呻き続け、身体を震わせながら精を出しつづける。そして僕のうなじに唇を寄せるとその口を大きく開き、そこに歯をあてがった。
「ああっ・・・ん」
皮膚を破るほど強く噛まれている訳では無いのに、そこから葵くんの力が入ってくる。
それは番の儀式。
子宮とうなじに流し込まれるアルファの力に僕の意識は飛び、目の前が暗くなった。
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