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どんどん大きくなるとは思っていたけど、こんなに早く背を越されるとは・・・。
なんだかちょっと複雑。
でも、発情期って成長を早めるのかな?
オメガはそんなことないけど、確かにこの頃から見た目でも性差が出てくる。この年頃からどんどん第二性が顕著に表れだして、オメガはより中性的に変わっていくのだ。
そういえば、初めて発情期を迎えたあたりから僕も成長が緩やかになって、身体の線が細くなってきたような気がする。
アルファは逆に発情期を迎えると身体がより逞しくなっていくのかな?オメガがオメガらしくなるように、アルファはアルファらしくなるのかも。
アルファは大変だね。発情期の度に背が伸びるなんて・・・て、いや、アルファに発情期なんてないじゃないか。アルファが発情するのはオメガの発情に誘発される時だけ。
そこまで考えて、僕は葵くんを見た。
確かに、子どもはあんなこともこんなこともしないものね。
目の前に発情した番が現れたから、葵くんの身体が慌てて成長したのかも・・・。
僕は抱いた葵くんの首元に顔を埋め、もしかしたら無理させてるんじゃないかと心配になった。
もっともっと、ゆっくり成長するはずだったんじゃないのかな?
「どうしました?奏さん」
僕の様子からか、それとも匂いからか、葵くんが心配気に声をかけた。
「身体、しんどくない?もしかしたら、僕、葵くんの身体にすごい負担をかけてるのかも」
葵くんは僕の背中に回した腕に力を込めて、ぎゅっとしてくれた。
「成長痛を伴う急な背の伸びは、アルファでなくても男子ならよくあることです。奏さんが気にすることではありませんし、オレはまだまだ大きくなる予定ですから、これくらいの伸びで身体に負担はかかってないと思いますよ」
ぎゅうぎゅうと強く抱きしめられて、僕の中の不安が消えていく。
「辛くなったら言ったね」
「オレはうれしいです。奏さんと一緒に歩いても兄弟に間違われないように、早くもっと大きくなりたいです」
そんなこと、気にしてたんだ。
「もう僕より大きくなっちゃったから、みんな間違えないよ。むしろ僕の方がおじさんに見られないようにがんばらなくちゃ」
11歳の年の差は、やっぱり大きいよね。
周りから釣り合わないと言われないように気をつけなくちゃ。
なのに葵くんは僕の言葉にさらにその腕に力を込めた。
「奏さんは全然おじさんになんて見えないです。湊を抱っこしていても、キレイでかわいくて、オレはいつも心配です」
その力説ぶりに、僕はこっそり苦笑いをした。
「ありがとう。さ、朝ごはん食べよう。今日は洗濯終わったらお買い物に行くよ。葵くんの洋服、買いに行かなくちゃね」
急に大きくなっちゃったから、パンツの丈が全然足りてない。この分じゃ制服もお直ししなくちゃいけないし、靴のサイズも変わってるよね。
僕たちは午前中いっぱい使ってこの3日で出た洗濯物を片付けると、車を出して買い物に出た。初めに制服を直してもらって、その後は洋服と靴。
制服のお直しも、出せるギリギリまで出してしまったのでこれ以上は直せない。次に大きくなったら、作り直しだ。
葵くんは短くてもいいって言うけど、袖も裾も短かいツンツルテンな制服なんて、僕が嫌だ。だって制服姿の葵くん、凄くかっこいいんだもの。本人がなんて言おうと、次の時は絶対に作り直そう。
そう思いながら、僕たちは湊を迎えに実家に向かった。
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