愛と欺瞞の花が咲く(3)

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「じゃあ、まずは想像してみてほしい。もしあなたが、一国の女王の娘という立場だったら。そして、そろそろ結婚をというような年頃で、結ばれるならこの人と、心に決めた相手がいたとしたら」  シャガはそう言って、窓の外へと目を向けた。  その横顔は、どこか愁いを帯びているように見える気がする。 「でもその相手が、同盟国の王子でも貴族の子息でもない、自分より十年も多く歳を重ねたしがない商人だったら。側近からも貴族からも、国民からさえも反対の声が上がりそうなくらいの、身分違いの恋だったら──?」  アルメリアは言われた通り想像してみる──もし自分がそんな状況に置かれたら。  きっと、自分の想いにはふたをして、周囲が決めた、しかるべき相手と結ばれる道を選ぶだろう。  シャガの話では、「将来を誓い合った相手」ではなく「心に決めた相手」だった。  ということは、つまりは片想いなのだろうから。  正直にそう答えると、シャガは少し悲しげな顔をした。  それは見間違いかもしれないと思うほどの、ほんの一瞬のことだったけれど。 「あなたは……あなたはそれほどまでに強く誰かを──」
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