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「…昼休みに男子達が廊下で大騒ぎしてて。慎也と私が仲良すぎる、付き合ってんのか、みたいな話題で。
うるさいし黙らせたくて、教室出ようとしたらさ…
慎也が『役に立つから利用してるだけ。あんな地味な奴といてもつまんない』って言ってたの」
やるせない顔を見られたくなくて下を向いて言うと、急にバリバリバリッと何かが割れる音がした。
驚いて正面を向くと、隼瀬が手に持っていた煎餅をバラバラに握り潰している。
「え、ちょっと…煎餅砕けてるよ?」
「気にすんな。続きを話せ」
過去の記憶に支配されていた脳内に、隼瀬の煎餅が割り込んできたので少し気が紛れる。
「…それで、私は教室にいた女の子達にめっちゃ慰められた。それまで特に仲良かった訳でもない子達からも。『慎也君サイテーだね。花結ちゃんが可哀想』って」
「よくある上っ面の女社会だな」
「まあね…で、次の日になったらその子達、慎也とふつうに仲良く話してるし。
アホらしくて、私はとりあえず慎也から距離を置いた」
隼瀬は「そりゃそうだな」といって、バラバラの煎餅を一欠片ずつ食べ始めた。
「避けるようにしてたら、慎也に家の前で待ち伏せされて『なんで避けんの』って聞かれて。あの日の話聞いてたんだぞ、って言った。そしたら…」
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