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自然と、額から冷や汗が出てくる。
落ち着け、落ち着けと手を強く握る。
「『あれは嘘だ。からかわれると面倒だからごまかしただけで、本当はそんなこと思ってない』って言われて…なんか、ベタベタされて」
「きめえな」
隼瀬はお茶を飲みながら、真顔のままそう言った。
「はは、そうだよね…気持ち悪ってなった。学校では全然話さないのに、外では執拗についてくるようになって。『信じてほしい』って何回も懲りないから…仕方なく、普通に接するようになったんだけど」
「…」
「…外で一緒にいるところ、クラスの子達に見られてて。私と仲良い友達の女の子も居たみたいで、『影でこっそり会ってたんだね』って言われた。
後々知ったんだけど、慎也のこと好きだったみたい」
「……薄情な女だな」
思い出すだけで、目の奥が染みてくる。
「もう卒業間近の時期で、学校行くこともほとんど無かったから、気まずい状態のまま終わっちゃった。もう誰とも会いたくなくて、卒業式の日も仮病使って休んだ」
「…高校入ってからは大丈夫だったのか?」
「クラスメイトで同じ高校受かった人はいなかったから、大丈夫。結構、勉強頑張ってたからね…
慎也とも会うことは今日まで一度もなくて、ただメールとか電話がしつこかったから、連絡先は変えた」
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