#11 過去の話

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*** 明らかに無理をした微笑みを浮かべて、花結は湯気が出なくなったお茶を飲んでいる。 駅であれだけ動揺していたのにも納得がいった。 わざわざ傷をえぐるような質問はしたくない。 ただ、聞きたいことは一つある。 「俺にそんな話して、よかったのか?」 「まあ確かに、矛盾してるよね…」と苦笑しながら、こちらに目を合わせてきた。 「隼瀬には核心をつかれたし、助けてもらったし…言いふらしたりしないって分かるもん。 別にまた助けて欲しいから、とかじゃないから。今まで通りの気楽な関係で接してもらえれば」 こいつは本気で言っているんだろうか? ここまで話しておいて、今まで通りが良いとは。 「…とりあえず事情は理解した」 「うん。ごめんね、つまらない話を長々と」 「別につまんなくねえ。それより次だ」 急須に入ったお茶を湯呑みに勢いよく注ぎ、再び話を聞く態勢を整えた。 「ああ、えっと…那々木さんのことだよね?」 「そうだ。俺が行かなかった打ち合わせの日から色々起きてるな。話せ」 「そんな気にすること…?」と言いつつ、花結は順を追って話し始めた。 打ち合わせの日、帰りに送ってもらったのに加えて、ひとつの花の苗を貰ったこと。
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