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車で拉致された日、騒ぎについて相談に乗ってもらい、クリスマスバザーまで連れていかれたこと。
お礼にモビールを渡したら、泣かれたこと。
そして、雪が降るとどうしてか物憂げな顔をして景色を眺めており、それが気がかりであるということ。
「…意味分かんねえ。あのおっさん不安定すぎるだろ」
「やめてよその言い方…」
「で、これからも会いに行くってか?これもさっきの話と矛盾だな。自分から干渉はしないんだろ」
図星をつかれたような顔をして、花結は少し困り顔をした。
「そう、そうなんだよ…でもどうしても気になるんだ。最近ほんと、イレギュラーなことが起きすぎてブレブレだよ」
こいつは、自分のことを冷たい人間だというが、それは嘘だ。もっと奥に、素直な本心が隠されている。
どう偽ろうが勝手だが。どうしてか、放っておくと壊れてしまいそうで怖い。
「…なあ、来週二年だけで集まるんだよな」
「うん…その予定だけど」
「帰りに、花屋寄ってくぞ」
「えっ?なんで?」
「おっさんとダチになるためだよ」
不本意だが、さっさと真意を明らかにさせるためにはやむを得ない。
目を丸くしている花結をよそに、俺はラスト一枚の煎餅をバリバリと齧った。
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