#11 過去の話

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車で拉致された日、騒ぎについて相談に乗ってもらい、クリスマスバザーまで連れていかれたこと。 お礼にモビールを渡したら、泣かれたこと。 そして、雪が降るとどうしてか物憂げな顔をして景色を眺めており、それが気がかりであるということ。 「…意味分かんねえ。あのおっさん不安定すぎるだろ」 「やめてよその言い方…」 「で、これからも会いに行くってか?これもさっきの話と矛盾だな。自分から干渉はしないんだろ」 図星をつかれたような顔をして、花結は少し困り顔をした。 「そう、そうなんだよ…でもどうしても気になるんだ。最近ほんと、イレギュラーなことが起きすぎてブレブレだよ」 こいつは、自分のことを冷たい人間だというが、それは嘘だ。もっと奥に、素直な本心が隠されている。 どう偽ろうが勝手だが。どうしてか、放っておくと壊れてしまいそうで怖い。 「…なあ、来週二年だけで集まるんだよな」 「うん…その予定だけど」 「帰りに、花屋寄ってくぞ」 「えっ?なんで?」 「おっさんとダチになるためだよ」 不本意だが、さっさと真意を明らかにさせるためにはやむを得ない。 目を丸くしている花結をよそに、俺はラスト一枚の煎餅をバリバリと齧った。
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