#11 過去の話

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*** 「あれ、もう帰っちゃうんですか?」 帰り支度の物音に気づいてか、幸人君が二階から降りてきてくれる。 気づけば二時間くらい隼瀬と話をしていて、時刻は六時半を回っていた。隼瀬のご両親も、じきに帰ってくるだろう。 「うん。休みの日にお邪魔しました。幸人君、お茶ありがとう」 「どういたしまして。また遊びに来て、今度は僕ともお話してくださいね」 嬉しくてこくこくと私が頷いていると、隼瀬は「お前は余計な話するから駄目だ」と言って、幸人君の頭をペチリとはたいた。 「家まで送るか?」 「大丈夫!まだ時間早いし。今日は色々とありがとう、隼瀬。また来週ね」 「ああ。気をつけろよ」 私は、自宅までのんびりと散歩しながら帰ることにした。 「…濃い一日だったなあ」 あれこれと起きすぎて、頭の中が大忙しだった。 慎也と会った時、息ができなくなって動けなかった。 でも隼瀬が、強引ではあったが守ってくれて、その温かさに心が満たされた。 そしていつの間にやら、隼瀬と私の噂も誤解が解けていた。帰り際、一年生とその話をしてる時に、周囲からかなりの視線を感じたが。 そういえば隼瀬は、矢吹と何を話していたんだろう。 私には関係のない話なんだろうか。
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