物憂げな花屋さんと私

#11 過去の話

ただ最も気がかりなのは、那々木さんのことだ。
私の帰り際、明らかに様子がいつもと違った。

『本当に来てくれる？』

彼は確かにそう言った。また会いに来てね、という意味だろうか。それにしては雰囲気がシリアスすぎる。

私は、彼のことをほとんど知らない。

でも隼瀬が一緒に、彼に歩み寄ろうとしてくれている。
また一人では何も出来なくて情けない話だが、電車で「困ったら何とかしてやる」と隼瀬が言ってくれた。

「もう誰にも期待しないって決めてたのにな…頼りすぎじゃん」

意志がブレブレの自分に呆れながら、疲労の蓄積した足を気力で動かして歩いた。