#12 ブルーム

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『もしもし、那々木です』 思ったよりも早い応答に、私は思わず慌ててしまった。 「あっ…もしもし櫟です!えーと、お休みの日にすみません。今、お時間大丈夫ですか?」 私の慌てように対してなのか、電話の向こうで微かに笑い声が聞こえた。 『うん、大丈夫ですよ。花結さんが電話くれるの初めてだね。どうかしたの?』 「あの、大した用事とかはなかったんですけど…先日は本当にありがとうございました。花束、凄く喜ばれました」 『ほんと?嬉しいな。お役に立ててよかった…』 電話越しでも、いつもの那々木さんだと分かる。 私は意を決して、聞いてみることにした。 「それと…あの日、話の途中だったんじゃないかと思って」 『……あー、それは…』 那々木さんは明らかに戸惑い、躊躇っている。私は黙り込んで、話してくれるのを待った。 『…本当にごめんね。急に触ろうとしてきて驚いたでしょ…自分でも何がしたかったのか、よく分からないんだ』 隼瀬君が止めてくれてよかった、と彼は笑いながら付け加えた。 「…あの、那々木さん、」 『ん?』 「クリスマスの日も、お店はやっていますか?」 『うん。普段通り営業するよ。あいにく独り身なもので、予定もないから…』 那々木さんは少し寂しそうな声つきで、ぼそぼそと言った。
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