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立ったままのわたしに、お母さんが"治らない病気だった"って教えてくれた。 変なの わたしは唇をぐっと噛みしめる。 奏くんは天才なのに。 病気を治す魔法を使わなかった。 わたしの約束に使っちゃったから? 変なの 奏くん変だよ たくさんの花に囲まれた奏くんに近づく。 涙いっぱいにして溜めて赤くなった瞳でもう一度、奏くんを呼ぶ。 満開をとどめる魔法使いの花を抱きしめていた上から雫がこぼれ落ちて、花びらの表面で弾いて消えていった。
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