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奏くんが寝る間も惜しんで研究に明け暮れているのを知ってるわたしは、夜食べれるようにおにぎりを作った。不格好なそれを残念に思いながらも、抱きかかえて落とさないようにバランスを取る。
あったかいお茶も水筒にセットしにして運んだら、奏くんはびっくりしてた。
「まだ起きてたの?」
「これ作ってた」
「ダメだよ、早く寝なきゃ」
"大きくなれないよ"と、奏くんは困った顔をする。
奏くんだって大きくなれなくなっちゃうのに、わたしには厳しい。なんでって聞いても教えてくれなかった。
ゆらゆら。花びらが、液体に浮かんでる。
クラゲみたい。
わたしは駆け寄って"成功?成功?"と訊く。
時間が止まった、小説の1ページみたいに固まってる花びらに感動しながら。
残念ながら、奏くんの想像とは違ったみたい。
首を横に振って違うんだ、って合図を送る。そっか。違うんだね。
わたしは花びらをなぞるようにそっと見つめた。
紫色に変化した薄い楕円形がとっても綺麗。
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