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「紗花ちゃんもお腹空いてたんだね」 本当は違うけど、わたしは笑顔で頷いてみせた。 さっき食べた晩ごはんのハンバーグでパンパンなのを誤魔化してまたパクリ。 ちょっとしょっぱかったかも。 …失敗だった。残念。 手短に食事を終えた奏くんはわたしの存在も忘れちゃったみたいにまた集中する。 わたしは空気に変身して眺めてることにした。 春の陽射しをたくさん浴びたら元気になれそう。 実験が成功したら、デートに誘おう。 お花見できるかな。それまでにおにぎりを習得しなくちゃ。 ビーカーの花びらは奏くんの手によって回転した液体に流されて底に沈んでった。
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