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「まだ?」
「まだ」
あれからずっとこんな調子。
かくれんぼしてるみたい。
奏くんは実験室に籠ってばっかりで遊んでくれなくなった。
目も合わせてくれない。むくれた頬でぷんぷんしながら、背中にべーってしてみた。
やっぱり奏くんは気づいてくれなかった。
5日が経過して、今日もまた奏くんに会いに行こうとしてわたしはとびっきりの作戦を練るために自分の部屋にやってきた。
鞄を机に置こうとして、何かが置いてあるのに気づく。
四角い白い箱にピンク色のリボンがついてる。桜みたいな色が可愛い。
わたしの好きな色を覚えてくれてた嬉しさに胸がいっぱいになりながら勢いよく開く。ワクワクが止まらないまま、早く中身を見たくて指が忙しく動きまわる。
大きく開いたピンクの花びら。
奏くんが最初に見せてくれたお花だ。
蕾だったのがちゃんと育ってた。
ふふって笑って花びらに触れる。あれ?
不思議がっていろんな角度で見てみる。
本物…、だよね?
花びらの触った感触がちょっぴり違ってるからびっくりした。くんくん。嗅いだらちゃんと花の匂いがする。
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