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ランチのあとには
ねむい。昼食に残り物の野菜とひき肉、トマトにニンニクを少々入れたパスタを食べ、時刻は2時5分前。日差しは緩やかで、自室にある見るからに品の良い椅子に腰掛ける花に春を感じさせる。
午後からは図書館に、返却期限が昨日までだった本を返しに行こうかと思っていたのに、程よい満腹感とこの暖かさは花を昼寝へと促す。それに午前中は外に出ていたのだが、意外と風は強くまだ少し寒いのである。昼寝をするか、いやでも、本は返却期限を過ぎているし、これは究極の2択だ、などと考えている花の世界は今日も平和に穏やかに過ぎていくはずだった。
バンッッ!!
耳をつん裂くような轟音と共にド派手な赤のジャージに身を包んだ娘がドアを開けてこういう。
「兄さん、図書館いかないのぉ?!午後に行くって言ってたよね?!?!」
この際はっきり言っておくが私はこの娘の兄ではない。そして、花と書いてモトという。美しいく逞しく生きろと、祖父が付けたらしいが、逞しく生きて欲しいなら男に花なんて漢字をあてるものじゃない。
「あぁ。行くよ。」
と、眠気も冴えそうな赤を目の端で捉えながらいい、
「図書館に行くのなら君こそ着替えてはどうだい?」
と彼にしては珍しく皮肉混じりに返す。するとまたもやバンッ!!という轟音と共に服装も行動もド派手な娘はドアの前から姿を消した。
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