170人が本棚に入れています
本棚に追加
「店番してもらえるだけでも助かりますよね」
「ああ、お話やさんも、お姉さんに店番頼んでましたね。そうですね。学生なので、定期的に入ってもらうのが難しい時は、母親に手伝ってもらったりもしてますよ」
「それは安心ですね」
「バイトもまじめに働いてくれる子なので、安心してます」
バイトって、女の子?
ふと、気になってしまったけど、尋ねられなかった。そんなこと気にするなんて何かあるのかと、変な誤解されそう。
「何飲みますか?」
「アイスコーヒーで」
カウンターの上に千円札を置かれたから、いつものようにオーダーを取る。
手の込んだドリンクは提供できない。冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出して、すぐに用意を整える。
グラスとクッキーを乗せたプレートを、久保さんの前に置く。簡単なサービスしかできないけれど、だいたいのお客さんは喜んでくれる。彼も例外じゃなかった。
「サービスがいいですよね。お話やさんのファン、商店街にたくさんいるみたいですよ」
「ありがとうございます。姉のおかげでもあるんですけど」
「兄弟っていいですよね」
「はい。久保さんもご兄弟いらっしゃるんですか?」
「……ええ、弟がひとり」
そう言って、彼はストローでアイスコーヒーをゆっくりと一周混ぜる。カラリと氷が鳴ると、その手を止める。
「弟さんなんですね。うちは、言いましたっけ? 2歳と4歳年上の姉がふたりです」
「お店を手伝ってらっしゃるのが……」
「2歳年上の姉です」
「うちは3歳年下です」
「そう言えば、久保さんはおいくつなんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!