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スイート・アリッサム
彼女は春が好きである。
とりわけ春先がお気に入りで、居ても立ってもいられない様子になる。きりっと晴れた午後なんかになると、いそいそとおやつなんかの用意をし始めて、さあ散歩へ行きましょうという無言の圧力をかけてくるのだ。
ああなってはもう駄目である。曲想が湧きかけたところだったのだけれども、僕は仕方なく楽器をスタンドへ立てかけた。水筒に各自が好きな飲み物を詰め込み、カップも二つ用意して、彼女に引っ張られるように、近所の公園へ出かけた。
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